「知」のソフトウエア  立花隆

「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))


人間の知的能力にはいざという場合のためにとってある相当量のリザーブがある
リザーブ力は時々引っ張り出して使うのが良い。意識的に追い詰められた状況に置くようにすれば引っ張り出せる。何度も使っていればリザーブ力が平常時能力に転化する。

人間という情報系では、情報は常に意味付きでなければならない。人間の思考と意味と切り離すことができない

速読に必要なのはひとえに精神の集中である。

アリストテレス 「人は生まれながらにして知ることを欲している」

目的先行型の読書法
何処が必要で、何処が必要でないかをどうやって見分けるか。重要なのは、自分が何を必要としているかを明確に認識しておくことである。

インプット量とアウトプット量は知的生産においては、この日は大きければ大きいほどよい
絶えざるインプットによって蓄積され形成された豊かな個性的知的世界こそが、良きアウトプットを土壌である

資料の個人的収集と整理は完璧は望めない。ある程度いい加減足らざるをえない。エバーノートにとにかくぶち込むことにする。

具体的なものを抽象化し、抽象的なものを具体化しつつ、現実と具体性と抽象性の往復の中で行ったりきたりすることが良き知的アウトプットのためには必要

個人的情報整理術で常に心がけておくべきことは、他人が利用する場合などの便を一切考えない。100%自分専用であるという大前提に立つ。

事前の準備は大切。心ゆくまで準備できることはない。準備とは本来そういうものかもしれない。何事にもよらず、完璧な準備などというものは出来るのもではない。

話を聞く時(インタビュー)で最も大切な事は、自分が会いてから聞くべきことを予め知っておくことである。
人にものを問うということを、あまり安易に考えてはいけない。人にものを問うときは、必ず、そのことにおいても自分が問われているのである。
「問うことは問われること」
話を聞いていてわからないことがあったらその場で聞く。知ったかぶりは発展性を殺してしまう。
問われるものは問うものに敏感に反応する。撞木(しゅもく)鐘と同じ。鐘はたたき方で鳴り方が違う

無意識化能力の涵養(かんよう)
意識された記憶と無意識の記憶との間には、量的な差異がある

どうすればいい文章がかけるか
できるだけ良質のインプットをできるだけ多量に行うことである。それ以外に手段は何も無い

実用的な注意点をひとつ上げるとすれば、文章をかきながら、何度も何度もしつこいくらいに自分の頭の中で繰り返して読みなおしてみる事だ

ウィトゲンシュタイン 「語り得るものは明晰に語り得る」

無説明で前提して良いある共有知識を読者との間にもつことで話は出発する。その共有知識の上に、新しい共有知識を積み上げる。話をすすめるごとに共有知識の山が危なげなく積み上げられていき、最後に結論の認識を読者と共有できれば良い

自分が信じたいことに好都合な未確認情報を得た時こそ裏取りを忘れない

写真、ビデオ、録音は部分的記録にすぎない
現実の相対と比してそれがどういう部分であるかという情報が合わせて与えられていないと、判断を誤る。
部分がそうなら全体がそうであろうと部分から全体を演繹してしまう誤りを犯しやすい。

あくまで事実から結論を引き出せ。先に結論があって、後からその論証の助けとなる事実を集めてくっつけるなどということはゆめゆめしてはならない。
とにかく「一歩でもオリジナル情報に近づけ」という原則を常に忘れない

「自分で自分の方法論を早く発見しなさいい」

「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))

「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))