失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇 野中郁次郎

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇


i.「成功は失敗の元」人間は成功体験によって強化された自己をなかなか否定出来ない
14.「この文脈においては、この選択肢が最適だ」というジャストライトな判断をするためには、論理を超えた多様な経験が欠かせない
33.新たなちを紡ぐには、様々な情報を幅広く集めながら、それらの背後にある文脈を理解し、適切な取捨選択を行わなければならない。その上で、何かと何かを組み合わせ、新しい概念を作り出し、さらに、その概念を形にして実際に試してみる事のほうが重要である

52.本田宗一郎「人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、多くの人は見たり、聞いたりばかりで、一番重要な試したりをほとんどしない。ありふれたことだが失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を恐れるから成功のチャンスも少ない。やってみもせんで」
54.失敗例から引き出す教訓としては、モノではなくことでとらえる大局観、不都合な真実に目をつぶらない知的誠実さ、多様な知・多様な人材、リーダー同士の目的の共有、新しことを生み出すイノベーション思考の重要性
77.成功体験にこだわるあまりに対局を見ることができない
128.教養とは「自分という人間をきちんとつくり上げること」
158.権威の葛藤 公式な権威と非公式な権威の対立・齟齬であり、「喉摘組織における地位や役割に付随する権利」と「組織構成員の間で共有された実務能力についての非公式な評価に基づく権威」とが不一致、あるいは緊張関係にある状態を言う。他部門から移動してきたばかりで新しい部署の業務内容を知らない上司と、古参の社員部下の意見が食い違う状況はまさに、権威の葛藤である。
206.ガダルカナル島は「餓島」となった
217.ハワイ真珠湾攻撃「赤城」飛行隊長だった淵田美津雄「ああ、兵は拙速を尊ぶ。巧遅に堕して時期を失うよりは、最善でなくとも、次善の策で間に合わせなければならない」
231.山口多聞 「鋭将」
247.客観的事実を受け入れず、矮小化された情報を基に独善的な予断をした
257.イギリス歴史家ジョン・アクトン「人間は歴史から何も学ばないことを、歴史から学ぶ」
262.空気による非合理的な意思決定が、日本軍の失敗の本質にあった
263.空気を持ち出すことによって、当事者は、それ以上の月休を免れ、自己正当化できる
292.オリバー・E・ウイリアムズ「すべての人間は完全に合理的でない。また、完全に非合理でもない。何よりも、限られた情報の中で限定合理的に行動すると仮定される。さらに、人間は機会があれば相手の隙に漬け込み、利己的利益を追求する機会主義的な存在でもある」
293.人間は合理的に考えた結果、現状がたとえ非効率的であるとわかっていても、その状態に留まるという不条理に陥る可能性があるといえる
314.生きた現実の経験を抜きに論理に頼り、これを鵜呑みにし、「策士策におぼれる」ごとく、自分たちだけに通じる「論理的作戦」を現場に強要していった。「悪しき演繹」

客観的情報を無視、ないし軽視する土壌があった。これは、人間の限定合理的に行動する性質が、硬直した官僚組織でより際立ってしまった。大局的に物事を見ることができるリーダーが存在せず、または存在できない硬直した組織であったために、優秀な人材も中央には登っていけなかった。戦術的には優秀であったが、戦略的には劣っていた。かつての成功体験に固執し、変化を受け入れ、イノベーションをおこすことができなかった。ありのままの現実に身を置きながら、見えない本質をいかに直観し、概念化するか。それを可能にするのが実践知である。常に現場からのフィードバックを受け入れ、変化を恐れないことが大切であり、そのような組織を形成する必要がある。小さなグループに権限を移譲し、リーダーシップを発揮する場所を常に与え、フィードバック・ループを形成出来る組織が生き残る。

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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