「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ


37.戦略が明確であれば目標達成を加速させる効果を生み、逆に曖昧ならば混乱と敗北を生み出す
43.戦略とは、如何に「目標達成につながる勝利」を選ぶかを考えること。日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結びつかない
48.戦略とは追いかける指標のことであり、有効な指標を見抜く指標の設定力こそが最大のポイントとなる。指標を正しく決めることが「目標達成につながる勝利」を決める
57.意識せずに発見した「経験則に寄る成功法則」では、適用すべき範囲を判断することが難しくて結果として過去の成功事例の教条主義に陥りやすい
59.体験学習で一時的に勝利しても、成功要因を把握できないと、長期的には必ず敗北する。指標を理解していない勝利は継続できない
69.体験的学習や偶然による指標の発見は、いずれ新しい指標(戦略) に敗れる。勝利の体験を再現するだけでなく、更に有効な指標をみつけることが大切。競合と同じ指標を追いかけてもいずれ敗北する。
82.型の習熟とと改善を基本とする日本的思考。日本は1つのアイデアを洗練させていく練磨の文化。しかし、閉塞感を打破するためには、ゲームのルールを変えるような、劇的な変化を起こす必要ある。
87.日本企業は戦いのしくみを変えられて負ける
90.既存の枠組みを超えて、「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、「人」「技術」「技術の運用」の三つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう。
97.ダブルループ学習とは、「想定した目標と問題自体が間違っている」のではないか、という疑問・検討を含めた学習スタイルを指す
99.ダブルループ学習では疑問符をフィードバックする仕組みを持つ。
110.イノベーションの実現は、優位である敵がもっている指標をまず見ぬくことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的であった指標を凌駕するために新たな指標で戦うことである
124.計画的に設計されたイノベーションを創造するためには、既存の指標を見抜き、それを無効化する新しい指標をダブルループ学習で見出す必要がある
142.体験学習の効果を全て否定するものではなく、あくまでも両者は併存しなければならないもの
150.一人の個人が行うイノベーションでさえも、組織の意識行動によって生み出されるか、潰されるかが左右される。「型の伝承」から離れ、「勝利の本質」を伝承する組織になることで初めて、所属するすべての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる
185.現場の情報は伝える人によりフィルタリングされるので、優れたアンテナを持つトップは、現場の情報を自分の耳と目で確認する。
205.誰かが厳しい立場で成果を確認し、言い難い事実を伝えなければ、真の問題解決に近づくことはできない。「居心地の良さ」とは正反対の、成果を獲得するための緊張感、使命感、危機感を維持できる「不均衡を生み出す」組織が生き残る。指揮をとる人間は、「見たくない問題を解決する覚悟の強さ」が何よりも要求される。
216.「空気」とは体験学習による連想のイメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。議論の「影響比率」を明確にし、意図的な「空気の醸造」が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべき
226.「結論に固執する」執着があると気がついた場合には、マイナスの心理的影響下にあるのではないかと疑うこと重要。情報や正しい警告を受け入れなくとも、問題自体は消えることはない。グループシンクやサンク・コストの心理的罠にどれだけ早く気づき、方向転換できるかが組織の命運を決める。
228.リスクを隠すことで、損害は劇的に増えていく
238.冷静で合理的な視点を保持する。一時的に「リスクをかわす」ことでは、脆弱性自体は一ミリも改善されていない。リスクは「目を背けるもの」でも、「隠す」ものでもなく、周知させることで具体的に管理されるべきもの。ビジネスでは、リスクを「かわす」のではなく、徹底して管理しなければ、存続していくこと自体が難しくなる。


1つのアイデアを練磨していく文化をもつ日本人は戦術に長けていても、戦略(勝利の本質)を見ぬくことが不得手。和を尊ぶ考えから、問題から目を背けてしまう傾向がある。リスクを隠すことで、損害は劇的に増えてしまう。大局的視点を持ち、意図的な「空気の醸造」がもたらす危険に気づき、合理的に思考し、方向転換を恐れるべきではない。リスクは”かわす”のではなく”管理”するものである


「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ