「編集手帳」の文章術 竹内政明
11.「・・だ」には音読するとブツ、ブツと調べを断ち切るところがある。必要以上に文章のテンポを良くしてしまう属性がある
16.接続詞を用いて増築するのではなく、金箔を薄く伸ばしていくように切れ目のない文章を心がける
24.第一感を捨て、第二感、第三感を取り出せる引き出しを持つ必要がある。幅広い知識が必要。
33.吉野弘「祝婚歌」贈るうた
互いに避難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなる方がいい
正しいことを言うときは
少し控えめにするほうがいい
相手を傷つけやすいものだと
きづいているほうがいい
63.書き出しの三原則 ①短い②年月日が入らない③会話文から入らない
83.「・・する機会があった」が催す不快感は、自分を大きく見せたいと心が放つ臭気である
93.その業界に属していないみで符丁を使うことには抵抗を持つ
130.標準語で普通、言葉の一番上、語頭に置かれていないガ行は鼻にかかって発音される。これを「ガ行鼻音」または「鼻濁音」という。語頭のガ行は鼻にかからない破裂音で発音される
132.一文字接続詞の「が」、読者の注意を引き付ける、「注目」
183.格言やことわざを引用するとき安直なコラムだとは思われないためにパロディの形で引用する
敵は本能にあり
恩をアザで返す
人間万事才能が邪魔
楽あればつわり
触らぬカミさんにたたりあり
200.カードは忘れるためにつける
204.ちょっといい表現に出会ったら書き留めておく
205.あやしむに足りない「不思議ではない」
ある会の崩れに連れて行かれた店で「ある会合の後の二次会で連れて行かれた店で」
生きることに心せかれて「生活に追われて」
至る処にきれいな水が瀬を立てて奔り
207.思いを他日に残すのも悪くはない「残念ではあるけども、また次の機会もあるよね
208.雅量を持って人に接する「寛大な心で人に接する」
209.この小さい事実に心打たれるのは「どうしてこのエピソードに感心したかというと」
210.時間というのは、いつも皮肉な仕掛けを用意している「ところが、ここに思いもよらない皮肉な結果が待っていたのだ」
時間の浸食作用「事件や出来事の記憶が遠ざかることを風化するという
嫉妬は常に正義や良心の仮面をかぶって登場する
周囲には目に見えない七五三縄(しめなわ)が張られているような雰囲気があった「オーラが放射されていた」
212.先年物故した誰々「何年か前になくなった誰々」
想念の糸は尽きることがない「思い出は尽きない」
214.という存在はおよそ規格ハズレであり、出来合いの物差しでは計れぬところがある「怪物」
216.人がおしなべて楽観のなかにいる時、危機は静かに近づいている
人の世は絶えざる値踏みの市である
218.身の置き場に窮する思い「見の置き場がなくて困った気持ち」
219.労が少なければ、功も少ないものである
うまい文章を書くには、第一感ではなく、第二感、第三感を用いる。その為には幅広い知識がバックグラウンドになければならない。ふだんから気に入って表現などを書き留めることを心がける。音読してリズム、切れ目のない文章にする
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